サウナブームってほんと?「日本のサウナ実態調査2021」を読んでみた

サウナブームってほんと?「日本のサウナ実態調査2021」を読んでみた

サウナブームってほんと?

空前のサウナブームらしい

sauna

 サウナが盛り上がっているらしい。
 確かに5~6年前、営業先のお客さんに「サウナ好きなんすよね」と伝えると大体、「お前若いのにサウナ好きなのか!わかるやつだな!」と偉いおじさんに共感されるかか、「うちの社長も好きですよ」と、偉いおじさんを紹介されるかのどちらかだった。少し前までサウナは、「おじさんの入るところ」というイメージだったのだろう。その時と比較すると、「週に2~3回はサウナ行っちゃいますね」と言ってみると、「僕もたまにととのいに行きます!」と共感されるか、「へー、ととのうんでしょw」と半笑いされるくらいまでになった。ある種の市民権というか、サウナの新しいイメージが「ととのう」というバズワードと共に広まっているのかもしれない。
 銭湯内でもこのブームは体感している。ある日、利用していた銭湯のサウナがテレビで取り上げられ、俄に混み始め、数ヶ月はサウナに列ができていた。少し経つと落ち着いたものの、去年あたりからまた混み始め、今もまたサウナに入るために並ぶことが珍しくない、くらいにはなっている。常連客としてはあの頃の空いているサウナが恋しいとは思うものの、とはいえ潰れられても困るので、客が多いに越したことはないのかもしれない。
 また、サウナ関連のメディアやまとめ記事が増加していること、SNS上で大小問わずインフルエンサーが積極的に発信していること、テレビでサウナが取り扱われることなど、「ブームである」と認識する要因はたくさんあるかもしれない。つまり、今はいろんな人がいろんなところで「サウナ行ってみた」という発信を行なっているのだ。サウナブームだからそれらのコンテンツが増えたのか、それらのコンテンツが増えたからブームなのかはわからないが、とにかく目につくようになった。

しかし、本当にサウナはブームなのだろうか?

実際調査のデータがあった

日本のサウナ実態調査2021

日本サウナ総研(http://saunners.saunasoken.jp)が、「日本のサウナ実態調査2021」という調査データを発表していた。2017年より毎年3月に発表しているらしい。読んでみたら面白かったので、紹介したい。ただ、あくまでこの調査はインターネット上でのアンケート調査のため、全て「推計」にとどまる。実態と乖離している可能性もあるが、「本当にサウナがブームなのか」ということを考える補助選にはなるだろうと思う。また、調査対象年はリリース年と1年ずれる。頭の中でいちいち変換するのはめんどくさいと思われる(例:2021年リリース→2020年の利用推計人口調査)ので、ここからの西暦表記先は「調査対象年」を表しているものとする。

・調査概要
調査元. : 一般社団法人 日本サウナ・温冷浴総合研究所
調査名 :日本のサウナ実態調査
調査方法:インターネット調査
対象 :18~69歳の男性5015人/女性4985人
画像出展:https://kyodonewsprwire.jp/release/202103041811

2017~2021年のサウナ愛好家の人口推移

まず、愛好家は3つの区分に分けられている。

ヘビーサウナー:月4回以上サウナに入る人
ミドルサウナー:月1回以上サウナに入る人
ライトサウナー:年1回以上サウナに入る人

アンケート回答の回答割合を、調査対象の年齢人口の割合に乗じて、この「推計人口」を算出しているとのこと。その表がこちら↓

グラフをぱっと見ると、グラフが下がっているので、「サウナ利用者減ってるじゃん!」と思われるかもしれないが、そもそも日本の人口が減っているので、絶対数が減っているはずだ。割合で見ないといけない。割合の表はこちら↓

ざっと下記のことが読み取れる。

・2016~2018年の利用者は横ばい。2019年は復調しているものの、全体としては減少傾向
・2019年の復調は、ライトユーザーの増加に起因している
・直近では、人口に占めるサウナ愛好家の割合はけっこう減っている(2019年:26.1%→2020年:23.9%)
・2020年は、月9回以上利用する超ヘビーユーザーは増加しているが、それ以外は減少傾向

サウナブームは2019年だけ?

この調査によると、サウナブームは2019年に起こったことがわかる(ライトユーザーの増加)。2016年からちょっとずつ減っていたサウナ愛好家が2019年に少し回復。ただ、2020年は超ヘビーユーザー以外は減少傾向にある。
原因は明らかで、新型コロナウイルス感染症の影響だろう。実際、「コロナによるサウナ回数の変化」では、過半数が「サウナに行く回数が減った」と回答している。

結局どうなん?

さて、では結局、サウナは本当にブームなのだろうか?

定量的な観点

定量的な観点から見ると、この調査の通り、あまり変わっていないというのが実際のところだろう。コロナがなければ、とは思うが、残念ながらそのifは存在しない。2021年の実態調査に関しては3月まで待たなければならないだろう。

定性的な観点

定性的な観点見ると、サウナの多様化が進んだように思う。
・若年層や女性客の増加(上記の調査に男女/年齢の比較がないのが惜しい)
・サウナイベントの開催やテントサウナなどの新しいサウナの楽しみ方の登場等、サウナのレジャー化

引き続きサウナに行こう

様々な業界と同じく、温浴業界もコロナ禍で苦しい状況にある。特に、古い町銭湯は老朽化が進み、閉鎖するところも増えている。我々にできるのは引き続き銭湯に行き、サウナに入り、ほっこりすることだけだ。個人的には、流行ってくれれば嬉しいし、流行らなくても空いてるから良い。とはいえ、潰れない程度にはやってもらわなければ困るので、僕もできるかぎり発信していこうと思う。