朝10時まで営業!?世にも珍しいオールナイト町銭湯ー東京都墨田区横川「押上温泉 大黒湯」

朝10時まで営業!?世にも珍しいオールナイト町銭湯ー東京都墨田区横川「押上温泉 大黒湯」

通常、「公衆浴場」と規定されるいわゆる「銭湯」は、24時か25時くらいまでしか営業していません。伝統的にそういうものだったから今もそうなのか、経営上その方がコストと利益のバランスが良いという理由だからかは分かりません。しかし、夜中に「銭湯入りてぇな」と思ってことはありませんか?今回紹介する「大黒湯」は、「公衆浴場」では珍しく、昼過ぎから朝10まで夜通し営業しています。

はじめに

そもそも公衆浴場とは

 銭湯には、公衆浴場法のなかで「一般公衆浴場」と定められているいわゆる「銭湯」と、「その他の公衆浴場」に定められているいわゆる「スーパー銭湯」の2種類あります。「銭湯」はその地域住民の公衆衛生を担う公的な役割があるため、地域ごとに料金が一律で設定されており、比較的安価に入浴することができます。結果的に採算度外視で(行政や自治体からの補助金などはあるかもしれませんが)経営されている銭湯が多いかもしれません。
逆に、「スーパー銭湯」は娯楽施設としての意味合いが強く、サウナや水風呂、露天風呂、もしくは岩盤浴などの設備が充実しています。24時間営業のスーパー銭湯も多いでしょう。が、その分料金は高めです。割高の深夜料金が設定されている場合も多いと思います。
つまり、夜行性の銭湯好きは、強制的に高いお金を払うスーパー銭湯に入るしかない、ということです。しかし、朝10時まで営業している「大黒湯」は、公衆浴場の料金、つまり480円で深夜に入浴することができます。これはすごいことなんじゃないでしょうか!
とりあえず基本情報を見てみましょう。

日曜日26時の大黒湯とスカイツリー

押上温泉 大黒湯の基本情報

大黒湯
東京都墨田区横川3-12-14 押上駅徒歩8分
Google Mapはこちら

駐車場   :無料駐車場3台
サウナ   :あり
サウナ温度 :80℃台
水風呂   :あり(あんまり冷たくない/20℃〜)
露天風呂  :あり
浴室    :狭い
カラン数  :15人分くらい
天井    :高め
ドライヤー :無料
備え付け品 :なし
料金    :入浴料480円+サウナ300円
営業時間  :平日15:00~翌10:00、土14:00~翌10:00、日13:00~翌10:00
定休日   :火曜日
公式サイト :https://www.daikokuyu.com/
※全て筆者調べ/2022.2月現在

推しポイント

サービス精神

オールナイト営業はもちろんのこと、日替わり薬湯や、外気浴ができるウッドデッキなど、スカイツリーが望める点も含めてサービス精神が旺盛です。男女の浴室は入れ替わり性で、偶数日/奇数日でそれぞれ浴室の設備が変わります。僕は高濃度炭酸泉とウッドデッキがある日に入りました。
外観と同じく、中も昔ながらの銭湯です。木製の靴箱があり、脱衣所も木製です。天井は折上格天井なので、見る人が見たら「格式があるな」と感じることでしょう。

公衆浴場はかくあるべきである、と思った

「昔ながらの銭湯であるべきである」と言いたいわけではありません。正直、宮造りだろうが折上格天井だろうが何でもいいですし、マイベスト町銭湯である天神湯は比較的新しい一戸建てタイプの銭湯です。とはいえ、町銭湯は「公衆浴場たるべき」とは思っています。つまり、どんな人であれ歓待すべき、ということです。
僕は25時ごろに伺いました。さすがに空いているかなと思っていましたが、そこそこの混み具合で、炭酸泉は満員です。ぬるめのサウナと極寒のウッドデッキを行き来してでダラダラしていたら、後から二人組の中年男性が入ってきました。割と大きめな声でしゃべっていて目に入ります。体をサッと流し炭酸泉へ、と思ったらすぐに上がり、浴槽の横の空きスペースにどかっと座りました。「今日初めてコンタクト入れたんだよ。わかる?」と、一人が手で目を大きく開けながらもう一人に見せ始めます。「痛くないのか、みてもわからん。俺は目が悪くない」と開いた目を見るでもなく答えていますが、コンタクトの初装着をどうしても見せたい方は、「お前からみてわかるか」と執拗に迫ります。挙句、お前も入れてみろ、ともう一人の方の目を無理やり開こうとして、揉み合い始めました。すぐに、冗談だよ、とコンタクトが引き攣りながら笑ったので、何となくおさまった感じなりました。しかしその後も、「コンタクトは痛くない、見てわかるか」とどうしても自分のコンタクトを見て欲しそうにしていました。
僕は、「久々にこんなどうしようもない会話を聞いたな」と、感動しました。しかも夜中に、裸で。ご時世がら、世の中は長時間の飲み会をやめろだの、リモートワークにしろだのと言われています。銭湯も例外ではなく、「黙浴」なるポスターが至る所にあります。とはいえ、人が二人集まったら会話しないことは不可能です。また、必要事項以外会話しないことも不可能です。不可能というか、面白くありません。
僕は、このどうしようもない大人のどうしようもない雑談に飢えており、それを銭湯くらいしか受け入れる場所がないことに気付かされました。それを受け入れる土壌が、大黒湯にはあると思います。

いろいろ書いたけど

浴室に関しては、正直狭いです。サウナもぬるい、水風呂も冷たくない。スカイツリーが見える露天風呂も「ちっちゃいな」と思いました。次はいるなら大露天風呂の方かなと思ってます。とはいえ、夜中も空いている銭湯は貴重で、雰囲気もいいと思います。銭湯好きな方はぜひ!